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省略できる?建具枠

ここ数年、工事見積書のチェックをする際に「ん?」と引っかかるようになったのが、建具枠。
壁に空けた開口を縁取る枠の内、扉が付く部分のものを「建具枠」と言い、開き扉の丁番を取り付ける下地にしたり、引き戸の扉がぶつかる緩衝材として機能したりします。
ちなみに、窓や固定のガラス等が付く場合は「額縁」と言います。

下の写真の左手前の小鳥のステンドグラスが嵌っている部分は「額縁」、右手前の何も付かない開口部は「枠」、右奥の扉が付いている部分を「建具枠」と使い分けています。

 

ちょっと逸れましたが、何が「ん?」かと言うと、昔に比べて値段がどんどん高くなってきており、塗装代なども加えていくと建具扉本体よりも高くなってしまうなんてことも、、
枠をしっかりと付けるときは無垢の木を指定することが多いのですが、今問題になっているウッドショックより前からこの状態なので、木自体の価格アップに加えて、加工の手間代などもどんどん高くなってきているのだと思います。

価格の問題に加えて、枠が無い方がスッキリと見えることもあり、デザインによっては枠を付けなかったり、最小限のアルミなどの金属枠の納まりにすることが増えました。

ただ、壁をクロスではなく左官などで仕上げるときは振動による割れや欠けを防止して、美しい状態を長く保つためにどうしてもしっかりと枠を入れたくなります。
他にもデザインとして枠があった方がいい場所や、多くの人が通ったり荷物を持って通過する場所などは物をぶつけて傷が付きやすいので、やはりできるだけしっかりと枠を入れるようにしています。

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出っ張らせない!スイッチニッチ

前回に続いて、壁をへこませて生み出す”ニッチ”スペースの計画例のご紹介です。
今回は何かを飾るためのニッチではなく、スイッチをすっきり納めるためのニッチです。

出っ張らせない!スイッチニッチ
   

写真は Si HAUS のキッチンからリビングスペース方向を見た写真ですが、左の壁にスイッチニッチを計画しました。

シンクとスイッチのある壁の間はキッチンへ入る動線になっていることもあり、通路に出っ張っらないようにインターフォン、給湯器、照明スイッチをニッチ内にまとめてレイアウトしました。

スイッチニッチは整頓されている印象はありますが、正面から見ると普通にスイッチを壁につけるよりも存在感が際立ってしまうというデメリットもあります。
その点、Si HAUS の場合はニッチに入れることで、リビングスペースから本来見えるはずのスイッチの側面が見えにくくなり、スッキリとした印象になる効果もありました。

最後に、前回に続いてご紹介したニッチですが、計画するときはその設置場所に注意が必要です。
構造の筋かいがある場所や、断熱材を充填する外壁、遮音のための吸音材を充填する壁には設置できなかったり、希望するサイズでは計画できないことがありますので、計画に取り入れたい場合は、お早めに検討を!


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壁の厚みを利用した”ニッチ”飾り棚

部屋の中に写真やお気に入りの小物を飾れる場所があると、より心地良い自分らしい空間にカスタマイズすることができます。
今回は壁をへこませて生み出すスペース”ニッチ”の計画例のご紹介です。

広さにゆとりのある部屋であれば、しっかりとした飾り棚を計画するのも良いのですが、そうではない場合はスペースをいじめる事なく、壁の厚みを利用して設けられる薄いニッチ状の飾り棚はいかがでしょうか。
写真や絵、小物など厚みの小さい物であれば、壁厚のニッチで十分。
一般的に、飾り棚に比べてコストを抑えてスッキリと仕上げられるメリットもあります。

壁の厚みを利用した"ニッチ"飾り棚
  

上の写真は Fk studio – Studio LUP – のクッキングスタジオ。
出っ張る飾り棚だと邪魔になるため、写真右の壁にニッチ状の飾り棚を計画しました。
オーナーが世界各国を旅して集めたお気に入りの小物が飾られ、スタジオ独自の雰囲気を生み出すスペースの一つとなっています。

下の写真も同じく、Fk studio – Studio LUP – の、こちらはエントランスです。
エントランスの正面、写真左の壁にスタジオスケジュールなどを置いたり、スタジオで使うヨガグッズやおすすめの書籍の紹介コーナーとして計画しました。
床から天井までの大きな棚なので、壁厚を利用して、、という訳にはいきませんが、特に人が行き交う場所ということもあり、こちらも出っ張らないニッチ状にしています。

壁の厚みを利用した"ニッチ"飾り棚
   

壁に埋め込むニッチ飾り棚、様々なサイズで計画可能ですので、取り入れてみてはいかがでしょうか?

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どんどん使おう!トイレの手洗い

前回に続いて、、なんと(?)今回もトイレのお話しです。
リビングなどに比べてマイナーで蔑ろにされがちですが、必ずどの家にも1つはあるトイレ。
ちょっとしたカスタマイズでより使いやすくアレンジできます。

最近、主流になりつつあるタンクレストイレはお手入れしやすくシンプルな形状が人気ですが、そのシンプルさゆえに、かつてはタンク部分に付いていた手洗いがありません。
そこで、手洗い器が別に必要になるのですが、観葉植物が多い Sa HAUS では水やりの給水に廊下側からも利用できるよう、手洗い器部分に小窓を設けました。

どんどん使おう!トイレの手洗い
 

小窓は軸回転で開くタイプです。
もちろんトイレに入って給水しても良いのですが、廊下側からであればスリッパを履き替えることなく使うことが可能です。

どんどん使おう!トイレの手洗い
 

閉めた時です。
小窓には圧迫感低減と光取りの役割もあります。

ちなみに、この小窓も写ったSa HAUSの動画は↓から見られますので、良ければご覧ください。

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トイレ時間を有意義にする本棚(?)

トイレ時間を有意義にする本棚(?)
 

写真は Ms HAUS のトイレ。
自然素材をふんだんに使ったナチュラルな雰囲気のMs HAUSはトイレも然りです。

レイアウトは便器の正面に手洗い器のあるごく一般的なトイレで、手洗い器の下には配管カバーを兼ねた収納があり、掃除道具や洗剤などが収納できるようになっています。
もちろん、上部の扉付きの収納にはトイレの必需品トイレットペーパーのストックが収納できるようになっています。
では、その下の棚板は何かと言うと、、タイトルにもある通り「本棚」なんです。

設計の打ち合わせの際に「トイレで本を読むんです」というのをお聞きし、それならばと計画しました。
このように、お施主さまの暮らし方に合わせて1つずつ丁寧に作っていけるのが注文住宅の醍醐味だと思います。

ちなみに、この棚の主用途は「本棚」ですが、もちろん時計を置いたりする飾り棚としても利用可能です。

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天井でゆるやかにゾーニング

1つの大きな空間の中でスペースをゆるく分けたいときには、家具やパーティションなどで区切ることが多いですが、もっとゆるやかに分けたり、スペースの性格の違いを特徴づけたいときなどには、床や天井の仕上げやレベルを替える方法も効果的です。

下の写真は Ka Hotel  – 界川治 – のロビーです。

天井でゆるやかにゾーニング
 
天井でゆるやかにゾーニング
 

ロビースペースと、体験スペースの天井それぞれに屋根の小屋組をイメージしたルーバー天井をデザインしました。
それぞれの空間が1つのスペースとしてまとまった落ち着きのある場所になり、動線となる通路部分との性格の違いも強調することができます。
視線を遮ったり、出入口を限定する必要がない場合に、天井を切り替えることはとても有効です。

天井でゆるやかにゾーニング
 

上の写真は Tc School  – クラーク記念国際高等学校 大阪天王寺 –のパソコンルームですが、e-スポーツ専用のマシンがある部分の天井を1段低くし、弧を描く形状にすることでスペースを特徴づけています。


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カーテン?ブラインド?それとも、、

窓に取り付ける視線や日射カットのためのアイテムには、カーテンをはじめ、ブラインド、ロールスクリーン、ハニカムシェード、すだれ、、、など様々なタイプのものがあります。
機能性はそれぞれに一長一短で、どれを選ぶかを決めるのは本当に難しいです。

例えば、最も主流のカーテンは大きなサイズの窓でも、確実に遮光してくれるものが選べますし、レースのカーテンを掛けておけば、日中の日差しと視線を程良くカットし、ひらひらと靡いて隙間や生地自体からちゃんと風も通してくれる優れものです。

カーテン?ブラインド?それとも、、
 

とても優秀なのですが、その一方で、開けている時も常にぶら下がっているのがなんとなく邪魔、すっきりと見せたい、特に不要な時は隠したいという思いで、カーテン以外を検討される方も多いように思います。

カーテンの代わりとして代表的なのはブラインド。
直線の形状がすっきりとした印象で、不要な時は上部に収納しておけるのも嬉しいです。
日射や視線は角度を調整することで遮ることも可能ですが、風が強い時にブラインド自体が揺れて窓枠にカタカタとぶつかるのが少し難点です。
メーカーによると、そもそもブラインドや後述のロールスクリーンは窓を閉めて利用することを推奨しているとのこと。
そうは言っても、中間期には風も通したいですよね。。

また、しっかりと閉めても隙間から光が漏れやすいという特徴もあります。

カーテン?ブラインド?それとも、、
 

ロールスクリーンもブラインド同様にすっきりとした印象になり、収納も可能です。
さらに、色や柄などの種類が豊富で、部屋の雰囲気に合わせて選定できるという特徴もあります。
1台でカバーできるサイズの窓であれば遮光性も得られますが、ブラインド以上に風を通しにくいので、こちらは固定窓などの換気を行わない窓や、就寝時の閉めている時にだけ利用するような寝室の窓におすすめです。

用途や雰囲気に合わせてどのアイテムが最適か、部屋ごとに選ぶのが良いかなと思います。

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