月: 2020年9月

市販の収納ボックスの活用

今年は自宅に居る時間が長く、家の整理や模様替えをされている方も多いと思いますが、かく言う私も時間を見つけては収納の整理と不用品の処分を少しづつ実施しています。
その中で出会った無印良品の”ポリプロピレンファイルボックス”がとっても優秀だったので、今回はその活用例をご紹介します。

写真のように我が家のキッチンのバックカウンター(ダイニングに向いた対面式のキッチン作業台とは別に壁側に設けた収納棚です)の大部分はオープン棚になっています。

市販の収納ボックスの活用
  

引出し形式は収納物を上から覗き込めるので、低い場所の収納方法としてはとても使いやすいのですが、造作家具で作った場合、棚板式の収納に比べてコストが掛かるのと収納量が減ってしまうデメリットがあるため、オープン棚を採用し、収納ボックスに入れて引き出して使うスタイルをずっと取ってきました。
(ちなみに、食器の収納は別に扉付きの収納棚があります。)

当初は、写真奥側の収納棚に入っている無印良品の”重なるラタン長方形バスケット”を全面的に活用していたのですが、幅約26cm、奥行き約36cmと割と大きいため、使っていくうちに収納物によっては大まかな分類となってしまう上に、収納BOXの中で混ざって目的の物が探し辛い点と、底が平らではないので、瓶などが倒れてしまうという点がデメリットとして浮上してきました。

そこで、野菜やパン、お菓子の収納には引き続きバスケットを使用し、調味料やドリンク、乾物、レトルト、ゴミ袋などの収納用として、新たに”ポリプロピレンファイルボックス”を導入したのですが、これが程よい大きさで底も平と我が家のキッチン収納にはもってこいでした。
さらに、どの面も真っ直ぐ垂直なケースなので、並べて置いてもケース同士の間に無駄な隙間ができず、スッキリとたくさん収納できることもオススメなポイントです。

余ったバスケットはと言うと、、洗面所のオープン棚にて、ストックタオル等の収納用として引き続き活用させていただいています。

ちなみの参考に、10cm幅のポリプロピレンファイルボックスの内法寸法は幅9.6cm、奥行き31.6cm、高さ23.8cmでした。

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スペースを家具で仕切る

前回と前々回の記事では、スペースをガラスで仕切ることの効果について書きましたが、今回は家具で仕切るケースをご紹介したいと思います。
壁で仕切らずに家具で仕切ることの一番のメリットは壁の厚み十数センチ分のスペースを有効に使えるということ。

Tc School -クラーク 記念国際高等学校大阪天王寺- の多目的ルームではパイプ椅子や部活動で使う楽器などを収納する倉庫を設けるにあたり、メインのスペースとの間仕切りを目隠しと収納を兼ねた家具で行い、限られたスペースを有効に活用するよう計画しました。

スペースを家具で仕切る
 

倉庫の中の収納物が全く見えないように、高さ1850mmまでは背面パネルを付けていますが、最小限の広さの倉庫のため、内部の閉鎖感の緩和や防災、換気の観点から上部はオープンとしています。
用途上、音漏れ対策は必要ありませんので、こうすることで多目的ルーム側の視覚的な広がり効果も得ることができます。

間仕切り家具にはPBLなどのグループ学習を行う際に使用するスツールを多目的ルーム側から収納できるようにし、必要な時に学生が手軽に取り出せるようにしています。
また、上部には学生の作品を展示する場所を設け、発表会や学校説明会の際に紹介できるようにしました。

スペースを家具で仕切る
 

Uc School -クラーク 記念国際高等学校大阪梅田- では、学習スペースと動線部分を仕切るために家具を利用しました。
完全に分ける必要はなく、適度に視線をカットし、適度に視線が抜けるようにするために、家具は背面パネルを所々抜いたデザインとし、2つのスペースをゆるやかに分けています。

通路側にはゴミ箱を収納し、傘立てや自動販売機も家具により死角となる場所に置くことで、学習スペースがスッキリとした印象になります。
また、学習スペース側には本やパンフレット等が置けるようになっており、眺めると気分転換になり、空間を彩る効果の高い水槽はどちら側からもよく見えるように計画しました。

このように、家具で仕切ることにより、スペースをしっかりと仕切るのか、緩やかに仕切るのかといった仕切り方の程度も自由に調整することができ、スペースのゾーニングにバリエーションを持たせることも可能となります。


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個室の間仕切りにガラスを活用

前回に続いて、ガラスでスペースを仕切ることの効果について、今回は住宅の個室の間仕切りにガラスを用いたケースをご紹介します。

住宅の個室はある程度のプライバシーが求められるスペースのため、透過性のあるガラスを間仕切りに用いるケースはあまり多くありませんが、上手く用いることでプライバシーを確保しながら、スペースの狭さによって感じる圧迫感や閉塞感を解消することができます。

建物面積24坪の狭小住宅である Sa HAUS では、高齢のお施主さまの寝室を安全性や利便性を考慮して1階の居間の隣に設けたため、居間は7.4帖、寝室は4.8帖と共に決して広くはないスペース配分となりました。

個室の間仕切りにガラスを活用
 

写真正面の2室の間仕切りを兼ねたTVボードと2枚の扉(引き戸のため、写真ではTVボードの後ろに隠れています)の上の視点より高い部分をガラスとし、奥の個室の様子やそこで過ごす人の姿は見えずプライバシーを確保しながら、隣室の天井面が連続して見えることによって空間の広がりを感じられるようになっています。
天井と共に左側の壁際の吊り収納もつなげて設けることで、より空間の連続性が感じられるように計画しました。

前回ご紹介した Yh Hotel -星のリゾート奥入瀬渓流ホテル -の半露天付き客室のように、奥の空間が完全に見えるわけではありませんが、奥に存在するスペースを感じることでも、空間の広がりを感じることができます。

個室の間仕切りにガラスを活用
 

また、居間には吹き抜けの窓から1日を通して光が入るため、とても明るい空間となっていますが、ガラスの間仕切りによって、その光が隣の個室にも届くという効果もあります。

写真は個室内の様子で、扉を閉めた状態です。

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スペースをガラスで仕切る

スペースをガラスで仕切ることの主な目的は2つあります。
1つは直接外部からの光を取り込めないスペースに間接的に光を取り込むことで、もう1つは仕切られた向こう側が見えるようにすることです。

後者の「向こう側が見える」にも様々なパターンがあります。
代表的なのは向こう側の「活動」や「様子」が見えるというパターンで、音や場合によっては匂いなどを遮りたいけれども、中の様子が見えるようにしたい場合にガラスを間仕切りに使います。

スペースをガラスで仕切る-1
 

写真は Uc School -クラーク記念国際高等学校大阪梅田- のフリー学習スペースですが、正面の濃紺の壁の向こう側が職員室になっていて、中央に設けた窓を介して職員室から学習スペースにいる生徒の様子が窺える様になっています。
同時に、学習スペースからも職員室の様子が垣間見え、用事がある際に職員室に入りやすく、先生との距離を縮める効果があります。

スペースをガラスで仕切る-2
 

向こう側の「空間」が見えるというパターンもあります。
壁にすると閉鎖感や圧迫感が生じてしまうような場合に、ガラスで仕切ることで視覚的な広がりが得られます。

写真は Yh Hotel -星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル- の半露天付き客室です。
限られた間口の中で、客室の寛ぎスペースと半露天風呂それぞれの開放感と迫力のある眺めを確保するために、2つのスペースの間仕切りにガラスを使用しました。
向こう側の「空間」が見えることで、どちらのスペースも実際より広く感じることができ、向こう側の「空間」を介してワイドな景色を楽しむことができる様になっています。 

もちろん、浴室使用時には開放的すぎると落ち着かないというお客様も安心して泊まれるように、浴室側はロールスクリーンを下ろして視線をカットすることができるように計画しています。

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