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床の仕上げを変える効果

フローリング、タイル、カーペット、モルタル、ビニルシート、、床に使う仕上げ材には様々な種類のものがあり、材の持つ機能性や使用する場所の性格、全体のデザインなどを考慮して選定します。

床の仕上げを変える効果
 

例えば、上の写真の Ts HAUS のリビングでは、主な床仕上げを肌触りの良い無垢のフローリングとし、薪ストーブの周りから玄関へと続く床を機能的なタイルで仕上げました。
薪ストーブの周りは薪を追加する際に火の粉が飛んだり、煤がこぼれたりといったことが起こるため、熱に強く清掃もしやすいタイルやレンガで仕上げるのが一般的ですが、Ts HAUSではその範囲を広げ、ストックの薪を置いておく階段下スペースもタイルで仕上げました。
玄関に向かってまっすぐにタイルのスペースを設けることで、デザイン的にもすっきっりとした印象となっています。

一方で、同じ材料で柄を変えることもあります。

 

写真は Uc School – クラーク記念国際高等学校 大阪梅田 – の学習スペースで、床は全面ビニルタイルですが、主に通路となるスペースをモルタル調、学習スペースを木調のビニルタイルとし、壁を設けずに2つのスペースを柔らかくゾーニングしました。

ある程度広いスペースの場合は、柄を変えることで空間にメリハリを持たせる効果もあります。

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コンセントとスイッチの組み合わせ

コンセントを照明器具のように壁のスイッチでon/offできるってご存知でしょうか?

コンセントとスイッチの組み合わせ
 

例えば、コンセントにプラグを差して使うフロアスタンドは、一般的には器具についているスイッチでon/offの操作を行いますが、この差し込み先のコンセントの回路にスイッチを接続することで、コンセント自体をスイッチでのon/offで操作することが可能になります。
夜に帰宅した時に、部屋の入り口で他の照明と一緒にフロアスタンドも点けることが可能になるので、わざわざフロアスタンドの前まで行く必要がなくなり、ちょっと便利。
フロアスタンドを日常的に使いやすくなると思います。
ちなみにこの時、照明に付属のスイッチはonの状態のまま使用します。

また、照明だけでなくサーキュレーターなども、この仕組みを利用することで、高い場所などの日常的には操作しにくいところに置いてもストレスなく利用することが可能になります。

今の暮らしを思い返し、建築後の暮らしを想像して、どこにスイッチ連動コンセントがあるとより快適に暮らせそうか、設計の段階からしっかり検討する必要がありますが、新たな暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか?

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エアコンカバーはさり気なく

今や生活空間の必需品となったエアコン。
これをどうやって空間デザインの中に組み込むか、というのは常にある課題なのですが、当事務所にはエアコンカバーの標準デザインがあります。

それがこちらです。

エアコンカバーはさり気なく
 

中央の機械部分をしっかり隠し、上部の給気部分と下部の吹き出し口前だけを開けた至ってシンプルなデザインです。
こちらは初期にしつらえたもので、少し中央のパネルの位置が高すぎましたが、徐々に寸法を微調整して現在の仕様に至っています。

格子状のデザインにすることもありますが、こちらの方がしっかりとエアコンを隠せて洋風の部屋にもマッチし、掃除も楽なので採用することが多いです。

エアコンカバーはさり気なく
 

家具と一体でしつらえる時は、材料やサイズを合わせることも大事なポイント。よりさり気なくエアコンのスペースを確保できます。

Sa HAUSでは壁面収納の一部に組み込み、吊り収納と高さを合わせてデザインしました。

エアコンカバーはさり気なく
  

壁に埋め込む時は、壁の色に合わせて作ります。

Fk Studio -Studio LUP-では、冷蔵庫等の設置場所になるアルコブの上に設けました。

一般的にエアコンは壁からポコっと出っ張って付くことが多いですが、せっかくカバーするのであれば、周囲に溶け込むように計画することもデザインの重要なポイントだと思っています。

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トップライトが解決してくれること

天窓とも呼ばれる屋根につける窓「トップライト」。
その光を取り込む能力はとても優秀で、特に隣の家が迫っているような密集地などでその能力が最大限発揮されます。
窓がたくさんあっても、そのすぐ前に隣家の壁があると光はほとんど入ってきませんが、トップライトの前は必ず空間が開いているので、たっぷりと光を取り込むことができます。

光を取り込むなら南に向けて付けた方がより効率的に思えそうですが、トップライトの場合は、直射日光がダイレクトに入る南向きの屋根面より、北向の方がオススメです。
間接光になりますが、眩しさを感じることがなく、十分に明るく優しい光が差し込みます。

トップライトが解決してくれること
 

写真は Ms HAUS の子供部屋です。
少し分かりにくいですが、ロフトの上にトップライトを付けました。

このように天井をフラットに貼らず、勾配屋根の形状に合わせて高くした場合、夏場の暑い空気はどうしてもこの一番高い場所に籠もってしまいますが、トップライトを開けてやれば、簡単に暑い空気を外に追い出し、家全体を換気することができます。
出先から帰って来た時など、エアコンをかける前にトップライトを開けて換気してやると、より早く快適な温度にすることができます。

他人から覗かれにくいと言うのもメリットの一つ。
これから家を建てられる方は、トップライトを付けるという選択肢も検討してみてはいかがでしょうか?

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色々な機能を持った壁紙

壁の仕上げ材には珪藻土や漆喰を塗る左官、各種ペイント剤を塗る塗装、木板張りやタイル貼りなど様々なものがありますが、今日のテーマは世の中で最も良く使われているのではないかと思われるクロス=壁紙についてです。

クロスと言えば、様々な柄があって選ぶものによって部屋の雰囲気がガラリと変わるという印象があると思いますが、実は柄だけでなく、一言にクロスと言ってもその主素材もビニール、紙、織物、木質など色々あります。
織物クロスには柔らかさや立体感、そして高級感がありますし、薄くスライスした本物の木で仕上げた木質クロスは自然素材のあたたかみを感じることができます。

木質クロスの一種ですが、コルクをスライスして仕上げたコルク壁紙は画鋲を抜き差しても跡が目立たず、掲示板としても利用することができます。

色々な機能を持った壁紙
 

上の写真は Uc School  – クラーク記念国際高等学校 大阪梅田 – の学習スペースですが、正面左寄りの茶色い壁面をコルク壁紙で仕上げています。
木製の家具の間にあるRCの柱の全面をコルク壁紙で仕上げて、掲示板としての機能を持たせつつ、違和感のないデザインでまとめました。

その他にも機能的なものとして、ホワイトボードとして使えるクロスや、チュークで描いて黒板消しで消せる黒板クロス、凹凸や光の反射を抑えたプロジェクタースクリーンクロスなどもあります。

写真左側は Kt School  – 東京国際ビジネスカレッジ 神戸校 – の教室です。
正面の壁と左側のスライドするパネルをホワイトボードクロスで仕上げました。
クロスで仕上げることで、壁面いっぱいをホワイトボードにすることも可能です。

右側は Uc School Library  – クラーク記念国際高等学校 大阪梅田 図書室 – です。
入り口を入ってすぐの壁を黒板クロスで仕上げました。
図書委員がお勧めの本などを紹介するコーナーになっています。

色々な機能を持った壁紙
   

最後は再び、Uc School  – クラーク記念国際高等学校 大阪梅田 – の学習スペース。
左側にあるトイレの出入り口を隠すパーティション壁をプロジェクタースクリーンに適したクロスで仕上げました。

一言にクロスと言ってもその特徴は様々です。
部屋の雰囲気に合わせて材質から選んだり、子供たちが自由に絵を描ける黒板クロスを貼ったり、専用スクリーンを設置しなくても手軽に映像鑑賞ができる壁面を計画したりと、楽しんでみてはいかがでしょうか。

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動画を作ってみました。

動画を作ってみました。
 

私も所属している建築家による自主運営グループ「建築家さがしの杜」がコロナ禍でなかなかイベントができないので、イベントに代わる企画として、それぞれが動画を作成して公開しよう!ということになり、私もなんとか頑張って作成してみました。
初めてのチャレンジで四苦八苦でしたが、何とか形になったかな、、と思います。

テーマは「建築・インテリア関連」ということだったので、竣工後8年目に突入したSa HAUSの今の様子を撮影。
写真ほど広角には撮れないのですが、動画ならではといった、写真ではなかなか伝わりにくいところを紹介できるように工夫したつもりです。

ぜひ、一度見てみてください↓↓

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ポーチの袖壁は優れもの

ポーチは玄関の外側にある屋根のついたスペースですが、屋根に加えて壁にも囲まれた空間とすることでより機能的なスペースになります。
ポーチが無い場合、雨の日には玄関から出ながら傘を開く必要がありますが、屋根があれば、外に出てから傘を開くことができます。
さらに壁で囲まれていると、風が強い日でも雨が吹き込む可能性が減るので、ゆっくりと傘をさして出発することが可能となります。

このポーチを囲む壁ですが、実はもう一つ重要な役割を担ってくれる場合があります。

ポーチの袖壁は優れもの
 

写真は Fk studio – Studio LUP- のエントランスポーチですが、写真右側のサインの付いた袖壁を付けることで、エントランスのガラスに網入りではない一般的なものを使用することが可能となっています。

やや専門的な内容になりますが、Fk Studio は準防火地域に敷地があり、このガラス部分が敷地境界から3m以内の延焼のおそれのある範囲に入ってしまうため、本来であれば隣地の出火などから建物や中に居る人を守るために、ガラスは網入りタイプか、高価な網なし耐熱強化ガラスを設置する必要がありますが、防火仕様の袖壁でガラス面に火が到達しないように遮ってやることができれば、一般的なクリアガラスを採用することが可能となります。
雨も火も防げて、サインも印象的に付けられて、、とっても優れものです。

ポーチの袖壁は優れもの

写真は Sa HAUS の外観です。
左下に玄関ポーチがあり、さらに左に屋根まで続く袖壁がありますが、これのおかげで、同じく準防火地域の延焼のおそれのある範囲にあるにも関わらず、玄関の扉を一般的な木材でつくることができました。
Sa HAUS の外観を特徴付けるデザインの一部にもなっています。

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